ピアノを始めたらすぐハノン?
この本の内容のうち、ハノンを練習しているといえば主に指の練習の第一部の38番までのことを指しているといっていいでしょう。それくらい日本ではハノンによる指の強化練習は日常的に行なわれているようです。特にかなりのピアノ初心者にも、ハノンは使用されています。
こんな話を聞いたこともあります。小学1年生の子供が初めてピアノを習いにいったとき、ピアノの先生に「この曲集からやりさない」といって、ハノンを買わされたそうです。その子はピアノが弾けるようになると思って、ハノンをがんばってやったのですが、結局1ヶ月もしないでピアノをやめてしまったのです。
「そんな極端な話があるの?」なんて言っている場合ではありません。今日でも、ピアノ初心者にはバイエルとハノンのみというピアノ指導者は存在します。それを一概に悪いとはいいませんが、そのようなピアノレッスンでは、ピアノを弾く楽しさからは遠いと感じる人が多いのは想像ができると思います。
それに確かにハノンの指練習に一定の効果はありますが、気をつけないと手首がガクガクと上下に動くような無駄な動きや、どんな曲もゴツゴツと同じ音量で弾いてしますことが身についてしまうケースもあります。これは一度動きとして体備わってしますとなかなかとれないのです。特に鍵盤を弾く指のポイントではなく、指の先で弾いている人に多い現象です。そしてそれはハノンをがんばっている人の中に残念ながら少なくないのです。
ですから、こういったハノンのような単純音型指訓練のようなものこそ、聡明なピアノ指導者から、使う目的ときっちりとした練習方法を教えてもらう必要あるのですが、実際にはハノンは初見で弾けてしまうので、「ここまでを家で毎日弾きなさい」などと片付けられてしまい、自分にとって最適な指のポイントで弾くなどの、技術指導は細かくされていないのが現状ではないでしょうか。
これらの理由により、この第一部の指訓練を初歩や初級程度の人が、毎日行うのはピアノが上達するどころか逆にヘタになる可能性も大きいのです。
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