理想バランスとは
ピアノの演奏が素晴らしいものに聴こえる条件にひとつに、バランスがあります。例えば多く曲はメロディーと伴奏から成り立っているいます(もちろん、違うものもたくさんあります)。でも、メロディーが聴き取れないようなバランスの悪い演奏の人が、これまた結構いるのです。
では、理想のバランスとはどういったものなのでしょうか?メロディーが6で、伴奏が4の割合でしょうか。それとも、7対3でしょうか……
いいえ。最適のバランスはひとつではありません。弾くピアノによっても、曲によっても、表現の仕方によっても違います。好みの問題や演奏場所の問題もあります。ですから、単純な数字や比率によって、決めることは難しいでしょう。
答えは簡単です。自分の耳で判断するものなのですから。自分が弾くピアノを、よく聴いてみましょう。また、自分の演奏とプロの演奏を比べてみてもいいでしょう。音もバランスに重点をおいて、聴き比べてみると、いろいろなことが見えてくると思います。
ピアノの音のバランスは、普段から気をつかわないと、結構簡単に崩れてしまうものです。また、ピアノがおいてある場所や室温や湿気などの多さによっても、かなり違ってきます。一流のピアニストは、例えリハーサルができなかったとしても、わずか数音弾いただけで、そのピアノの特徴と会場での音の聴こえ方を判断し、瞬時に理想に近いバランスでピアノを奏でています。
抜群のリズム感を持とう!
音のバランスも重要ですが、素晴らしい演奏とそうでない演奏の最大の違いは、リズム感かもしれません。洗練されたかっこいい演奏をするピアニストは、抜群のリズム感を持っているのです。
リズム感というと、誤解をしている人も多くいます。よくいわれるのが、「ブラジルはサンバの国だから、ラテンのリズム感がいい」とか「ワルツのリズム感は本場のウイーンの人にはかなわない」といったものです。
これらは大きな間違いです。ブラジルの人がみんなサンバを得意としているわけではないですし、ワルツのリズム感は、日本人でも素晴らしい人は大勢います。
また、リズム感というのは、何もそういった踊りの曲の話ではなく、普段の曲でもかなり重要なのです。テンポの設定や休符の間の使いかたなど、楽譜の指定をどう表現するかは、人によって様々です。
肝心なのは、基本のリズムを踏まえて、発展させること。基本リズムを習得していない人の演奏は、すぐにわかってします。
なんといっても、たくさんのリズム感にあふれる曲を聴くことが、いいことだと思います。音楽にあわせて、体でリズムを感じてみましょう。それが直接演奏に生かされるとは限りませんが、体が習得すれば、生かされてくるはずです。